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あなたは知ってる?災害時「徒歩30分は何歩」?今すぐ学ぶべき避難知識

このページでは、「徒歩30分は何歩くらいか?」という素朴な疑問を、災害時の避難行動に直結する具体的な防災知識として整理して解説します。あなたがこの記事を読むことで、平均的な大人が30分で歩ける歩数と距離の目安だけでなく、地震・台風・豪雨・津波・土砂災害など、徒歩での避難が避けられない場面で「自宅から指定避難所まで、どれくらいの時間と歩数がかかるのか」を自分の歩幅に合わせてイメージできるようになります。また、ハザードマップを使って安全な避難経路を事前に検討する方法、災害の種類別に注意すべきポイント、避難中に危険を避ける判断のコツ、非常持ち出し袋に入れておくべき必須アイテム、歩きやすい服装や靴の選び方、家族の安否確認方法や集合場所の決め方までを一通り押さえられる構成になっています。結論として、「自分の徒歩30分の歩数と距離を具体的に把握し、家族と共有した避難ルールやルートと組み合わせておくこと」が、突然の災害時にパニックを抑え、限られた時間内でより安全な場所へ逃れるための現実的な防災対策であることがわかるはずです。

1. 災害時「徒歩30分は何歩」を知る意味

地震や台風、豪雨による洪水・土砂災害などの大規模災害が起きたとき、私たちは必ずしも自動車や電車・バスといった交通手段に頼れるとは限りません。そうした状況で現実的で確実な移動手段になるのが「徒歩」です。そのときに役立つのが、自分が徒歩30分で何歩くらい歩けて、どの程度の距離を進めるのかをあらかじめ把握しておくという、防災のための具体的な知識です。

徒歩30分の歩数を知っておくと、自宅や職場、学校から最寄りの避難所まで、どのくらいの時間と体力でたどり着けるのかをイメージしやすくなります。また、高齢の家族や子ども、持病のある人と一緒に避難する場合に、無理のない避難計画を立てるうえでの基準にもなります。

1.1 災害発生時に徒歩移動が避けられない理由

大規模な地震や津波、台風、線状降水帯による集中豪雨などが発生すると、道路や鉄道、バス路線などのインフラは大きなダメージを受ける可能性があります。信号機の停止、道路の陥没、橋や高架の損傷、鉄道の運休、バスやタクシーの運行停止などが同時多発的に起こり、日常的に利用している移動手段が一気に使えなくなることがあります。

また、大勢の人が一斉に車で避難すると、主要道路が渋滞し、緊急車両が通れなくなるおそれがあります。実際に各自治体の防災マニュアルでは、津波や洪水の危険が迫っているときには、車ではなく徒歩での避難を基本とするよう呼びかけているケースが多く、自動車での避難は推奨されていません。

さらに、停電や通信障害によって、カーナビやスマートフォンの地図アプリが使えなくなる可能性もあります。慣れない夜道や大雨の中での運転は視界も悪く、土砂崩れや冠水路への転落といった二次被害のリスクも高まります。こうした事情から、災害時に確実に自分の身を守るためには、「徒歩で安全な場所まで移動する」という前提で避難行動を考える必要があります。

代表的な災害ごとに、なぜ徒歩移動が避けられない状況になりやすいのかを整理すると、次のようになります。

想定される災害・状況 車・公共交通機関の主なリスク 徒歩移動が重要になる理由
大地震(首都直下地震・南海トラフ地震など) 道路の亀裂や陥没、落下物、信号機の停止、鉄道の長時間運休による帰宅困難者の発生 駅やバス停に人が集中し混雑・危険が増すため、自宅や一時滞在施設まで徒歩で移動する必要が生じやすい
津波警報が発表される地震 沿岸部の道路は渋滞しやすく、車が流される・立ち往生する危険がある 高台や避難ビルへ「一刻も早く」移動する必要があるため、渋滞の影響を受けにくい徒歩避難がより安全になりやすい
台風・線状降水帯による豪雨 冠水路の走行によるエンスト、土砂崩れ現場への侵入、視界不良による事故リスク 危険箇所を避けながら、比較的安全なルートを自分の足で確認しつつ進めるため、徒歩での慎重な避難が求められる
大規模停電・通信障害 信号や街灯が使えず交差点で事故の危険が高まる。カーナビや交通情報も頼れない 明るい時間帯を選んで徒歩で避難所や親戚宅などへ移動するほうが、安全確保につながる

このように、災害の種類は違っても、「いざという時には自分の足で安全な場所まで移動しなければならない」場面は、想像以上に多いことが分かります。そのときに、徒歩30分でどの程度移動できるのかを具体的にイメージできるかどうかは、避難の成否を左右する重要なポイントになります。

1.2 正確な情報が避難計画にどう役立つか

「徒歩30分で何歩くらい歩けるのか」「どのくらいの距離を進めるのか」という情報は、一見すると単なる健康やダイエットのための歩数の目安に思えるかもしれません。しかし防災の観点から見ると、これは自宅や職場、学校から安全な避難場所まで、現実的に到達できる範囲=徒歩圏内を見極めるための重要な指標になります。

例えば、自宅から一番近い指定避難所までの距離が約1.5kmだとします。普段から自分の歩幅や歩く速さを把握し、「徒歩30分でおよそ何歩・何km進めるか」を知っていれば、その避難所が家族全員にとって無理のない距離なのか、子どもや高齢者と一緒に歩いても制限時間内に安全に到達できるのかを、より現実的に判断できます。

逆に、避難所までの距離が想像していたより長い場合には、「大雨警報が出た段階で早めに避難を開始する」「日没前に移動を終えるようにする」など、時間に余裕を持たせた避難行動計画を立てるきっかけになります。これは、ハザードマップで確認できる浸水想定区域や土砂災害警戒区域と組み合わせることで、より具体的な避難経路の検討にもつながります。

また、家族全員がそれぞれの徒歩30分の歩数や距離の目安を共有しておくと、災害時の安否確認や集合場所の決定にも役立ちます。たとえば、次のような場面です。

  • 平日は親が職場、子どもが学校にいる時間帯に地震が起きた場合、徒歩で合流できる範囲かどうかを「時間」と「距離」の両方から判断できる
  • 高齢の祖父母がいる家庭では、祖父母の歩行速度を前提に、自宅から近い別の避難所や親戚宅を「第一候補」にするなど、現実的な避難先を検討しやすくなる
  • マンション高層階に住んでいる場合、エレベーター停止を想定して階段を徒歩で何分・何歩で降りられるかを把握し、避難開始のタイミングをイメージしやすくなる

さらに、会社や学校で行われる防災訓練の質を高めるうえでも、「徒歩30分の歩数と距離」の情報は役に立ちます。単に「避難経路を歩いてみる」だけでなく、実際にかかった時間や歩数を記録し、災害時に想定される混雑や障害物を加味して、どのくらいの余裕を持つべきかを検討する材料にできるからです。

このように、「徒歩30分は何歩か」という一見シンプルな疑問を解消し、自分や家族の歩行ペースを知っておくことは、避難所までの到達可能性を見極め、無理のない避難行動計画を立てるための「防災の基礎データ」になります。災害はいつ起こるか分かりませんが、平常時にこうした知識を身につけ、具体的な数字としてイメージできるようにしておくことが、大切な人の命と自分自身の命を守る確かな備えとなります。

2. 具体的に解説 徒歩30分の歩数と距離

2.1 平均的な大人の歩数と距離

まず、災害時の避難を現実的にイメージするためには、「健康な大人がふだん通りに30分歩いた場合、おおよそどれくらいの歩数と距離になるのか」を把握しておくことが重要です。ここでは、日常生活での徒歩をもとにした一般的な目安を示します。

日本人の成人の平均的な歩幅は、男性でおよそ70cm前後、女性でおよそ60cm前後とされています。これをもとに、1分あたりの歩数と歩行速度から「徒歩30分」の歩数と距離を計算すると、次のようなおおよその値になります。

歩く速さのイメージ 歩行速度の目安 1分あたりの歩数の目安 30分の歩数の目安 30分で進める距離の目安
ゆっくり歩く 時速約3km 約80〜100歩 約2,400〜3,000歩 約1.5km前後
普通に歩く 時速約4km 約100〜120歩 約3,000〜3,600歩 約2.0km前後
やや早歩き 時速約5km 約120〜140歩 約3,600〜4,200歩 約2.5km前後

表から分かるように、徒歩30分と言っても、その人の体格や体力、普段からの歩き方によって「約2,400〜4,200歩」「約1.5〜2.5km」とかなり幅があることがポイントです。

防災の観点からは、「自分の場合は、荷物がなく落ち着いて歩ける状況であれば30分でおよそ何歩・何kmなのか」をあらかじめ把握しておき、避難計画の基準にすると、より現実的なシミュレーションができるようになります。

2.2 災害時の歩行困難な状況での歩数予測

地震・火災・豪雨・土砂災害などの災害時は、日常の散歩や通勤とは違い、道路の損傷やがれき、停電による暗さ、人の混雑、余震や二次災害への警戒など、歩行を妨げる要因が一気に増えることが想定されます。

そのため、同じ「徒歩30分」でも、進める距離は大きく短くなりがちです。目安として、次のようなイメージで考えておくと、安全側で避難計画を立てやすくなります。

状況 歩行のしやすさ 1分あたり歩数の目安 30分の歩数の目安 30分で進める距離の目安
災害発生直後で比較的落ち着いている やや歩きにくい 約70〜90歩 約2,100〜2,700歩 約1.0〜1.5km
避難者が多く渋滞している かなり歩きにくい 約50〜70歩 約1,500〜2,100歩 約0.7〜1.0km
がれき・冠水・段差が多い 非常に歩きにくい 約40〜60歩 約1,200〜1,800歩 約0.5〜0.8km

このように、災害時には「同じ30分でも、普段よりも半分以下の距離しか進めない可能性がある」と見込んでおくことが重要です。特に、夜間・雨天・停電・煙が出ている状況などでは視界が悪く、足元の安全確認に時間がかかるため、より慎重に進む必要があります。

また、乳幼児や高齢者、妊娠中の方、身体の不自由な家族がいる場合は、歩く速度がさらに落ちるのが普通です。家族構成を踏まえて、避難所まで「徒歩30分」と地図上に書かれていても、実際には1時間以上かかる前提で計画しておくと、無理のない避難行動につながります。

防災訓練や地域の避難訓練に参加する際には、実際に非常持ち出し袋を背負った状態で一定時間歩いてみて、「どのくらいの歩数・距離でどれくらい疲れるのか」を体感しておくと、本番でも慌てずに行動しやすくなります。

2.3 自身の歩幅を把握し活用する方法

避難計画を現実的にするうえで大切なのが、「自分の歩幅」と「一定時間に歩ける歩数」を知っておき、地図上の距離を自分の歩数に変換できるようにしておくことです。

たとえば、自分の歩幅を知っていれば、次のような計算ができます。

  • 歩幅が0.60mの人が3,000歩歩くと、0.60m × 3,000歩 = 1,800m(約1.8km)
  • 歩幅が0.70mの人が2,000歩歩くと、0.70m × 2,000歩 = 1,400m(約1.4km)

このように、「自宅から最寄りの避難所まで何kmか」ではなく、「自分の歩幅なら何歩ぐらいか」を把握しておくと、災害時に歩数計やスマートフォンの歩数表示を目安にしながら避難距離を把握できるようになります。

2.3.1 歩幅の簡単な測り方

歩幅を正確に測るのは難しそうに感じるかもしれませんが、自宅や近所の公園・グラウンドなどで、簡単な方法で概算を知ることができるので、日頃から一度試しておくと安心です。

  1. あらかじめ距離が分かっている場所を探す

    学校のグラウンド、公園のジョギングコース、体育館のフロアなど、10m・20m・50mといった距離が表示されている場所を利用します。表示がない場合は、メジャーや巻尺で10m程度の距離を測っておきましょう。

  2. 自然なペースで一定距離を歩いて歩数を数える

    普段どおりの速さで、決めた距離(例:10m、20m)をまっすぐ歩き、歩数を数えます。このとき、つま先からつま先までを1歩と数えるように意識し、極端に大股や小股にならないようにします。

  3. 歩幅を計算する

    歩幅(m)= 距離(m) ÷ 歩数 で計算します。たとえば、20mを30歩で歩いたなら、20 ÷ 30 = 約0.67m(約67cm)という具合です。

  4. 複数回計測して平均をとる

    同じ距離を2〜3回歩き、歩幅の計算結果を平均すると、より自分に近い値が出せます。普段使う歩幅としては、極端に大きい値や小さい値は除いて、真ん中付近の数字を採用するとよいでしょう。

このようにして求めた歩幅をもとに、「自宅から避難所までの距離(km)を、自分ならおよそ何歩になるか」に換算し、防災ノートや非常持ち出し袋の中のメモに書いておくと、災害時に距離感をつかみやすくなります。

2.3.2 歩数計の活用と注意点

最近は、スマートフォンやスマートウォッチ、活動量計などで簡単に歩数を記録できるようになりました。平常時から歩数計を使い、「自分は30分でどれくらいの歩数を歩いているか」を把握しておくと、災害時にも役立ちます。

歩数計を防災に活かすためのポイントと注意点は次のとおりです。

  • 日常の「30分あたりの歩数」を知っておく

    通勤・通学・散歩など、普段の生活の中で30分程度歩くタイミングに歩数を確認し、「自分の普通のペースなら30分で〇〇歩」と覚えておきます。これが、災害時に距離を見積もる基準になります。

  • 災害時は歩数だけでなく時間も一緒に確認する

    避難中は、疲労や荷物の重さ、暗闇、悪路などの影響で、日常よりも少ない歩数で同じ時間が経過していることがあります。歩数だけでなく、経過時間もこまめに確認し、「無理なペースになっていないか」「想定より遅れていないか」をチェックしましょう。

  • 電池切れ・故障を前提に、紙のメモも併用する

    スマートフォンや活動量計は、災害時にはバッテリー切れや故障のリスクがあります。自分の歩幅や「30分あたりのおおよその歩数」を紙に書いて非常持ち出し袋に入れておき、歩数計が使えない場合でも、時間と歩幅から大まかな距離をイメージできるようにしておくと安心です。

  • 画面を見るために立ち止まり、安全を確保してから確認する

    避難中に歩きながらスマートフォンの歩数表示を見るのは危険です。段差や瓦礫につまずくおそれがあるため、必ず立ち止まり、周囲の安全を確認してから画面を見るようにしましょう。

このように、「徒歩30分で何歩歩けるか」という数字は、単なる健康管理の指標ではなく、災害時に自分や家族がどこまで避難できるかを見積もるうえでの大切な防災情報です。平常時から自分の歩幅と歩数の関係を把握し、避難計画に落とし込んでおくことで、いざというときの判断がぶれにくくなります。

3. 災害時の安全な避難知識を深める

災害が発生したとき、電車やバス、自家用車が使えず、徒歩で30分ほどかけて安全な場所へ移動しなければならない状況は少なくありません。そのときに「どこへ」「どの道を通って」「どのくらいの時間と歩数で」避難できるかを具体的にイメージしておくことが、生死を分けることもあります。この章では、ハザードマップの活用方法や災害種別の避難の要点、徒歩避難中に危険を避けるための実践的な知識を整理します。

3.1 ハザードマップを活用した避難経路の選定

ハザードマップとは、洪水・津波・土砂災害・地震動など、地域ごとの災害リスクを色分けして示した地図です。市区町村が配布している紙のマップに加え、国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、多くの自治体の情報を地図上でまとめて確認できます。まずは自宅・職場・学校など、日常生活の拠点となる場所のリスクを把握し、徒歩での避難を前提にしたルートを考えましょう。

3.1.1 自宅・職場・学校周辺のリスクを把握する

ハザードマップを開いたら、最初に次のポイントを確認します。

  • 自宅・職場・学校が洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・津波浸水想定区域などに含まれているか。
  • 想定される水位や土砂災害の種類(崖崩れ・土石流・地すべりなど)。
  • 近くに河川、海岸、急な斜面、がけ、古い擁壁などの危険箇所がないか。
  • 最寄りの指定避難所・指定緊急避難場所の位置と種類(地震向け・洪水向けなど)。

多くの自治体のハザードマップでは、避難所ごとに対応している災害種別(例:地震・津波・洪水)が記載されています。同じ「避難所」でも、津波には向かない場所や、洪水時は浸水してしまう場所もあるため、「どの災害のときに、どの避難所へ行くか」を事前に整理しておくことが重要です。

3.1.2 徒歩30分圏内で複数の避難場所を確保する

前章で把握した「徒歩30分のおおよその距離」を目安に、地図上で自宅から徒歩30分圏内にある避難先候補を洗い出します。このとき、次のような観点で複数の候補を持っておくと安心です。

  • 地震・火災時に安全な広い場所(校庭、公園、広場など)。
  • 洪水・津波時に浸水しにくい高台や高層階の利用が可能な施設
  • 高齢者や子どもと一緒でも、無理なく徒歩30分ほどで到達できる距離か。
  • 夜間や悪天候でも歩きやすい道でつながっているか(街灯の有無、段差、狭さなど)。

可能であれば、家族構成や体力に合わせて「徒歩15分以内の一時避難場所」と「徒歩30分前後の避難所」をそれぞれ複数ピックアップしておき、災害の状況に合わせて使い分けられるようにしておくと、選択肢が増えて判断しやすくなります。

3.1.3 安全なルートを具体的に描いておく

避難場所の候補が決まったら、実際に歩いて所要時間と歩数を確認し、安全なルートを具体的に決めておくことが大切です。地図上の距離だけでは、アップダウンや歩道の幅、交通量などの「歩きにくさ」が分からないため、できれば晴天時に家族で歩いてみましょう。

ルートを決めるときのポイントは次の通りです。

  • 河川や用水路、海岸線のすぐ脇を長く歩くルートは、洪水・津波時には避ける。
  • 崖下や急斜面の下、土砂災害警戒区域の中を通るルートは、土砂災害のときは使わない。
  • 古いブロック塀、ガラス張りのビルの多い細い路地は、地震時に倒壊・落下物の危険がある。
  • 踏切や大きな交差点など、人と車が集中しやすい場所をできるだけ避ける

スマートフォンの地図アプリは便利ですが、災害時には電池切れや通信障害も想定されます。紙に印刷した地図に避難ルートを書き込んでおき、非常持ち出し袋に入れておくと、停電時や充電切れでも確認でき安心です。

3.2 災害の種類別避難の注意点

一口に「徒歩での避難」といっても、地震・津波・洪水・土砂災害など災害の種類によって、取るべき行動や安全な場所は変わります。同じ徒歩30分でも「どの方向に向かうか」で、生存可能性が大きく変わることを意識しておきましょう。代表的な災害ごとの注意点を整理したのが、次の表です。

災害の種類 主な危険 徒歩避難のポイント 事前の備え
地震 建物の倒壊、窓ガラス・看板の落下、火災、ブロック塀の倒壊など。
  • 揺れが収まるまで無理に移動せず、安全な場所で身を守る。
  • 避難開始時はヘルメットや厚手の帽子で頭を守り、落下物に注意しながら歩く。
  • 古いブロック塀や石垣、ガラスの多い建物のそばをできるだけ避ける
  • 自宅や通勤・通学路の危険な塀や看板を事前にチェックする。
  • 家具の固定やガラス飛散防止フィルムを施し、室内での負傷を減らす。
  • 気象庁などで地震情報の見方を把握しておく。
津波 地震後に海岸部に押し寄せる高波。第1波後も繰り返し到達することがある。
  • 強い揺れや長く続く揺れを感じたら、ただちに徒歩で高台や津波避難ビルなど「より高い場所」へ向かう
  • 海や川沿いに平行に移動するのではなく、海から遠ざかる方向へ移動する。
  • 車での避難は渋滞の原因となるため、歩いての避難を基本とする。
  • 自宅・職場・学校から徒歩で30分以内に到達できる高台や避難ビルを確認する。
  • 津波ハザードマップで浸水想定範囲と避難先を把握しておく。
  • 家族で「地震が来たら迷わず高いところへ」を合言葉にしておく。
洪水・内水氾濫 河川の氾濫や下水の逆流による浸水。夜間や短時間に急激に水位が上昇することも。
  • 避難指示などが出たら、水がくる前の早い段階で徒歩避難を開始する
  • 水が膝上まで来ている場合、流れが速い場合は無理な徒歩移動を避ける。
  • 暗い中で冠水路を歩くと、側溝やマンホールのふたの脱落に気づきにくい。
  • 自宅の浸水想定深をハザードマップで確認し、垂直避難と水平避難のどちらが有効か検討する。
  • 大雨の際はテレビやラジオ、防災アプリで河川情報・警戒レベルを常に確認する。
  • 雨の強さと降り続く時間の目安を気象庁の情報で学んでおく。
土砂災害 がけ崩れ、土石流、地すべりなど。前触れが分かりにくく、発生すると一瞬で襲う。
  • 警戒レベルが上がった段階で、暗くなる前に徒歩で安全な場所へ移動する
  • 急な斜面の下や谷底、沢沿い、がけの上・下を通るルートは避ける。
  • すでに土砂が動き始めている斜面には近づかない。
  • 自宅が土砂災害警戒区域・特別警戒区域内かどうかを事前に確認する。
  • 過去に近隣で起きた土砂災害の事例を自治体の資料などでチェックする。
  • がけや斜面にひび割れや湧き水などの異変を見つけたら、早めに自治体へ連絡する。
火山噴火・火山灰 噴石、火山灰、火砕流など。地域によってリスクの大きさが異なる。
  • 火砕流や大きな噴石の危険がある地域では、自治体の避難指示に従って速やかに避難する。
  • 火山灰が降っているときは、マスクやタオルで口と鼻を覆い、目を守る。
  • 視界が悪く路面が滑りやすいので、歩幅を小さくし、転倒に注意しながらゆっくり歩く
  • 自宅地域が火山防災マップの対象かどうかを確認する。
  • ゴーグルや防じんマスクなど、火山灰対策の用品を備えておく。
  • 避難時に通る道が火山灰で覆われやすいかどうか、自治体資料で確認する。

これらの情報は、市区町村の防災ページや内閣府「防災情報のページ」などで公開されています。自分が住む地域や通勤・通学先の災害リスクを、季節や時間帯も含めて具体的に想像し、「どの災害ではどの方向へ徒歩で避難するか」を事前に話し合っておきましょう。

3.3 避難中に危険を回避する術

災害が起きて実際に避難を始めてからも、周囲の状況は刻々と変わります。当初想定していた徒歩30分のルートが使えなくなることも珍しくありません。その場その場で安全を確認しながら歩くための行動原則を知っておくことで、危険を避けやすくなります。

3.3.1 徒歩30分を安全に歩くための基本行動

緊急時は焦りから早足や駆け足になりがちですが、転倒や二次災害のリスクを減らすために、次のような歩き方を意識しましょう。

  • 走らず、やや小さめの歩幅で一定のペースを保つ(疲れにくく、周囲の状況も確認しやすい)。
  • 足元と前方、上方(看板・電線・窓ガラスなど)の3方向をバランスよく見る。
  • スマートフォンの画面を見ながら歩かない。必要な確認は立ち止まって行う。
  • 建物のすぐ脇や塀ぎりぎりを歩かず、できるだけ道路の中央寄りを歩く。
  • 人が多い場所では押し合わないようにし、人の流れを乱さない。

災害時は、普段なら気にならない段差や濡れた路面、落ちている物につまずいて大きなけがにつながることもあります。徒歩30分の移動が想定以上に負担になることもあるため、日頃から歩き慣れた靴を用意しておき、非常時にはすぐ履き替えられるようにすることも重要です。

3.3.2 状況判断と引き返す勇気を持つ

事前に決めた避難ルートであっても、実際に歩いてみると、火災や浸水、落下物などで通れなくなっている場合があります。その際には「予定通りに進む」ことにこだわらず、常に周囲の状況を観察し、必要であれば別ルートへ切り替える柔軟さが求められます。

次のような状況に遭遇した場合は、引き返す、もしくは別の安全なルートへの変更を検討します。

  • 前方の道路がすでに冠水しており、水深や路面状況が分からない。
  • 建物の倒壊や火災が発生し、煙がこちらに流れてきている。
  • がけの近くで土砂が崩れ始めている、あるいは大きな石が落ちてきている。
  • 人が密集してほとんど前に進めない状態になっている。

避難時は「一度決めた道を最後まで行かなければならない」と考えがちですが、命を守るうえで最優先すべきは「安全な方向に移動すること」です。徒歩30分以内でたどり着ける別の避難所や、一時的に身を寄せられる安全な建物を複数把握しておくと、その場の判断がしやすくなります。

3.3.3 要配慮者と一緒に避難する際のポイント

高齢者、乳幼児、妊娠中の方、障害のある方など、いわゆる「要配慮者」と一緒に徒歩で避難する場合、一般的な大人のペースで想定した徒歩30分の距離では遠すぎることがあります。日頃から一緒に歩いてみて、どのくらいの時間と歩数でどこまで行けるかを確認しておきましょう。

要配慮者と避難する際のポイントは次の通りです。

  • 平常時の散歩のペースを基準に、余裕を持った時間設定をする。
  • 階段や急な坂道が多いルートは避け、できるだけ段差の少ない道を選ぶ。
  • ベビーカーや車いすが通りやすい歩道やスロープの有無を事前に確認する。
  • 家族や近所で役割分担を決め、誰がどの人をサポートするかを決めておく。
  • 日頃から地域の避難訓練に参加し、要配慮者を含めた実際の避難をシミュレーションしておく

避難途中で体調不良や怪我が発生した場合には、無理に徒歩で30分歩き切ろうとせず、途中の安全な建物やコンビニエンスストア、公共施設などで一時的に休ませてもらう判断も必要です。日頃から近隣の施設と顔見知りになっておくことや、地域の見守りネットワークに参加しておくことも、災害時の支えになります。

4. 今すぐできる災害への備えと対策

災害時に「徒歩30分」で安全な場所まで避難するには、平常時からの備えが欠かせません。特に、非常持ち出し袋の準備や、服装・靴の選び方、家族の安否確認方法と集合場所の取り決めは、命を守るうえで大きな差になります。この章では、今日からすぐに着手できる具体的な防災対策に絞って解説します。

4.1 非常持ち出し袋の必須アイテムリスト

非常持ち出し袋は、地震・火災・水害などで自宅に留まれなくなった際に、徒歩で安全な場所まで避難しつつ、当面の命と健康を守るための最低限のセットです。家族構成や持病の有無、住んでいる地域の災害リスクによって必要な中身は変わりますが、共通して入れておきたい基本アイテムを整理します。

一般的な目安は、「1人1袋」かつ「自分が徒歩30分以上背負って歩ける重さ」です。実際に準備したリュックを背負い、近所を30分歩いてみて、重さやバランスを確認しておきましょう。

カテゴリー 具体的な例 ポイント・備考
水・食料 ペットボトル飲料水(500ml数本)/ゼリー飲料/栄養補助食品/カロリーメイトなどの保存食/飴やチョコレート 避難途中の脱水や低血糖を防ぐため、開けやすく、歩きながらでも口にできるものを中心に準備します。家庭での備蓄は数日分が必要ですが、非常持ち出し袋には「徒歩で運べる量」に絞って入れます。
情報・連絡手段 携帯ラジオ(できれば手回し充電式)/モバイルバッテリー/充電ケーブル/予備の電池/筆記用具とメモ帳 スマートフォンは安否確認や地図アプリの確認に必須ですが、停電や回線混雑に備え、電池に依存しないラジオも用意します。モバイルバッテリーは満充電状態をキープし、時々使って確認しましょう。
照明 懐中電灯/ヘッドライト/小型ランタン 夜間の徒歩避難では、両手が自由に使えるヘッドライトがあると、安全確認や瓦礫の回避に役立ちます。懐中電灯は家族人数分あると安心です。
衛生用品 ウェットティッシュ/ティッシュペーパー/アルコール消毒液/マスク/生理用品/歯みがきシート 避難所では水が十分に使えないことが多く、手洗い・うがいが難しい環境になります。感染症予防・エチケットの両面から衛生用品は多めに準備します。
簡易トイレ 簡易トイレ(袋+凝固剤)/ポリ袋/トイレットペーパー 断水や下水道の損傷により、通常のトイレが使えないケースが少なくありません。徒歩避難の途中でも使えるよう、すぐ出せる位置に数回分を入れておきます。
衣類・防寒 下着・靴下の替え/薄手の長袖・長ズボン/レインコートやポンチョ/タオル/アルミブランケット 雨や風にさらされると体温が奪われます。濡れた衣類のまま徒歩で移動し続けないためにも、替えの衣類と簡易な防寒グッズを入れておきましょう。
医療・健康 常備薬/持病の薬の予備/お薬手帳のコピー/絆創膏/テーピングテープ/消毒液/鎮痛剤 持病がある人や高齢者は、少なくとも数日分の薬を非常持ち出し袋に入れておきます。薬の名称や用量がわかるよう、お薬手帳や処方内容のコピーも一緒に保管します。
貴重品・書類 現金(小銭を多めに)/健康保険証や身分証のコピー/緊急連絡先リスト/自宅や勤務先の住所を記したメモ 停電時はキャッシュレス決済が使えないことがあるため、現金を分散して持つことが重要です。緊急連絡先は、スマホが使えなくても困らないよう紙でも控えておきます。
防災用品 ホイッスル/軍手や耐切創グローブ/マルチツール/ガムテープ/ポリ袋数枚 ホイッスルは瓦礫に埋もれた際の救助要請に役立ちます。ポリ袋は、荷物の防水や即席のレインカバー、簡易トイレなど用途が広く、軽量なので多めに入れておきましょう。

これらに加えて、乳幼児・高齢者・障害のある人・妊娠中の人・ペットがいる家庭では、それぞれに必要なもの(ミルクやオムツ、介護用品、ペットフードなど)を必ず追加し、「家族ごとのオリジナル非常持ち出し袋」にカスタマイズします。

非常持ち出し袋の中身は、一度準備して終わりではなく、賞味期限や使用期限を確認しながら定期的に入れ替える必要があります。内閣府の防災情報のページや自治体の防災パンフレットには、持ち出し品のチェックリストが掲載されているので、自分のリストと照らし合わせて見直しましょう。

また、非常持ち出し袋とは別に、自宅には数日分以上の水・食料・日用品を備蓄しておくことも重要です。東京都の防災ポータルサイトなどでは、家庭での備蓄量の目安や「ローリングストック」の方法が紹介されているので、参考にして日常生活のなかで少しずつ備蓄を増やしていきましょう。

4.2 避難時の服装と靴の選び方

徒歩で30分以上の避難を想定する場合、服装と靴の選択は「安全距離を歩き切れるかどうか」を左右する重要な要素です。災害時は、道路の損傷や瓦礫、ガラス片、冠水、火災による熱など、平常時にはない危険が多く存在します。普段着や仕事用の服装のまま避難すると、転倒やケガ、低体温症などのリスクが高まります。

基本の考え方は、「動きやすい」「肌を露出しない」「天候の変化に対応できる」の3点です。季節を問わず意識しておきましょう。

部位 推奨される服装 避けたい服装・理由
上半身 長袖シャツやトレーナー/フリース/薄手の上着を重ね着して温度調整できるスタイル 半袖・タンクトップ:瓦礫やガラスで腕を切りやすい/厚手1枚のみ:暑さ・寒さの調整がしづらい
下半身 丈の長い丈夫なズボン(チノパンやジャージ、動きやすいストレッチ素材など) 短パン・スカート:転倒時にケガをしやすい/スキニージーンズなど極端にタイトなもの:歩行時に動きにくい
履き慣れたスニーカー/運動靴/トレッキングシューズ ハイヒール・パンプス:転倒の危険が高い/サンダル・ミュール:瓦礫で足をケガしやすい/長靴:水が入り込むと重くなり歩行が困難
頭・手・顔 帽子/ヘルメットまたは防災ずきん/軍手や耐切創手袋/マスク 素手・素頭:落下物や飛散物から身体を守れない/マスクなし:粉じんや煙を吸い込みやすい
雨・寒さ対策 レインコートやポンチョ/折りたたみ傘(風の弱いときのみ)/薄手のダウンやフリース/ネックウォーマー 傘のみ:強風時に使えない/濡れたままの服:体温が奪われやすく低体温症のリスクが高まる

靴については、普段から「いざというときにそのまま徒歩で避難できるか」を意識して選ぶことが大切です。職場で革靴やヒールを履く人は、ロッカーに運動靴を常備しておく、帰宅困難が想定される日にスニーカー通勤を検討するなど、平常時から工夫しておきましょう。

また、季節ごとの注意点も押さえておくと安心です。夏場は、熱中症を防ぐため、通気性の良い服装と帽子、飲料水を準備し、こまめな水分補給を心がけます。冬場は、風を通しにくいアウターやマフラー、手袋、カイロなどを用意し、「汗をかいても体を冷やさない重ね着」を意識します。特に夜間に徒歩で避難する場合は、懐中電灯とともに、反射材付きのベストやタスキを身につけると、車から見つけてもらいやすく安全です。

防災に関する服装や持ち物の具体例は、NHKの防災・減災情報でも紹介されています。自分のライフスタイルに合わせて、普段着の選び方から見直しておくと、災害発生時に慌てずに行動しやすくなります。

4.3 家族の安否確認方法と集合場所の決定

災害は、家族全員が自宅にそろっているときに起こるとは限りません。仕事中、通学中、買い物中など、別々の場所にいるときに発生する可能性のほうが高いともいえます。そのため、あらかじめ家族で安否確認の方法や集合場所を決めておくことは、徒歩での避難計画と同じくらい重要です。

まず、連絡手段については、電話がつながりにくくなることを前提に、「複数の手段」と「優先順位」を決めておきます。

連絡手段 主な使い方 注意点
音声通話 緊急性の高いときに使用。安否の確認や、けがの有無、現在地の共有など。 災害発生直後は回線が混雑し、つながりにくいことが多い。必要以上の長電話は避け、短時間で要点のみ伝える。
SMS・メール 状況報告(「無事」「けがなし」「避難所へ向かう」など)や現在地の送信。 音声通話よりつながりやすい場合があるが、送受信に時間がかかることもある。簡潔な定型文を家族で決めておくと伝わりやすい。
メッセージアプリ グループ機能を使い、家族全員の状況を一括で共有。位置情報の共有機能が役立つ場合もある。 アプリの使い方に慣れていない高齢者には事前に練習が必要。通信環境がないと使えないため、過信は禁物。
災害用伝言ダイヤル(171)等 電話で音声メッセージを録音・再生できるサービス。自宅の固定電話番号などをキーにして安否情報を残す。 使い方を家族全員が理解していることが重要。防災訓練の機会などに、試験運用日を利用して練習しておくと安心。

次に、集合場所の決定です。災害の種類や被害の状況によって、どこに向かうのが適切かは変わりますが、少なくとも以下の2種類は決めておきましょう。

集合場所の種類 具体例 決めるときのポイント
第1集合場所(自宅付近) 自宅、または自宅近くの公園・広場・神社など、屋外の安全なスペース 自宅が無事な場合に集まる場所。徒歩で30分以内で到着できる範囲を基本とし、周囲に倒壊しそうな建物や崖がないかも確認しておく。
第2集合場所(自宅が危険な場合) 指定避難所・広域避難場所・親戚の家・職場や学校近くの大きな公園など 自宅が倒壊・浸水などで危険な場合に集合する場所。自治体の指定避難所の位置や、徒歩での経路、所要時間を家族で共有しておく。

集合場所を決めたら、地図アプリだけでなく、紙の地図でも確認することが大切です。スマートフォンが使えない状況も想定し、子どもにもわかるように、わかりやすい目印(大きな建物、交差点、河川など)を書き込んでおきましょう。また、集合場所まで実際に徒歩で歩き、かかる時間や道中の危険箇所を確かめることも重要です。

さらに、家族で役割分担を話し合っておくと、災害時の混乱を減らせます。例えば、「誰が子どもを保育園・学校に迎えに行くか」「高齢の家族の介助は誰が行うか」「ペットは誰が連れて避難するか」などを決め、紙に書いて冷蔵庫や玄関に貼っておくと、いざというときに思い出しやすくなります。

自治体の防災マップやハザードマップと合わせて、東京都の防災ポータルサイトや内閣府の防災情報のページなどの公的な情報を定期的に確認しながら、家族の状況変化(進学・転勤・転居など)に応じて、安否確認の方法や集合場所をアップデートしていきましょう。そうすることで、災害時に徒歩30分以上を移動しなければならない状況でも、家族が互いの行動を予測しやすくなり、再会できる可能性が高まります。

5. まとめ

災害時には、道路の寸断や交通機関の停止などにより徒歩で避難せざるを得ない状況が起こり得ます。そのため、平時から「徒歩30分で自分がどのくらいの距離を歩けるのか」「おおよそ何歩歩くのか」を把握しておくことは、現実的な避難計画を立てるうえで重要な指標となります。

徒歩30分の歩数や距離は人によって異なりますが、自分の歩幅と歩行速度を知っておけば、自宅から指定避難所、職場から最寄りの広域避難場所などまでの所要時間をより具体的にイメージできます。これは「どのルートなら安全にたどり着けるか」「子どもや高齢者と一緒のとき、どれくらい余裕を見て出発すべきか」といった判断に直結します。

災害時は、瓦礫や冠水、停電による暗闇など、平常時とはまったく違う環境で歩かなければなりません。事前に「徒歩30分」の自分の基準を知ったうえで、余裕を持った時間設定を心がけることが、無理な移動や危険なショートカットを避けることにつながります。

また、各自治体が公開しているハザードマップや、気象庁など公的機関の防災情報を活用し、自宅・職場・学校などの周辺で安全性の高いルートと危険箇所を確認しておくことも欠かせません。同じ30分の徒歩でも、「どの方向に歩くか」「どの道を選ぶか」によって、生存率が大きく変わる可能性があります。

非常持ち出し袋の準備や、歩きやすい靴と動きやすい服装の用意、家族での集合場所や連絡手段の取り決めなどは、今すぐにでも始められる対策です。これらの備えに「徒歩30分で移動できる範囲」という具体的な時間感覚・距離感覚を組み合わせることで、より現実的で実行しやすい防災計画になります。

災害はいつ、どこで起きるかわかりません。だからこそ、日常の散歩や通勤の中で自分の歩幅と歩数を意識し、「徒歩30分でどこまで行けるか」を体感しておくことが、あなたと家族の命を守る第一歩になります。知識と準備を重ね、いざというときに迷わず動けるよう、今日から防災意識を高めていきましょう。

     

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